コウラのアメリカ留学生活 ~子育て、英語教育、アイスホッケー、文化の違い、株~

子育てやアメリカ生活などを通して感じたことの雑記。子育て、英語教育、アイスホッケー、日本と米国の文化の違い、株など。

英語学習法について(その5)「聞く」の学習方法

コウラです。

 

前回に引き続き、今回は私なりの「聞く」の技能の学習方法を書きます。

 

【聞く】

この技能のまず第一の目標は、早口で癖のある話し方のアメリカ人の話を理解できるようになることでしょう。

イギリス人の英語の方が聞きやすい気がするので、あえて「アメリカ人」と書きました。なお、第二の目標は非ネイティブの早口で癖のある話し方でも理解できるようになることです。正直に言って、私の周りの中国人やインド人、ブラジル人の独特のしゃべり方の癖にいつまでたっても慣れることができません。。。ちなみに、アメリカ人から「日本人の話し方はかわいい」と言われたことがあります。

 

リスニングで英語を理解できない原因は以下の5段階に分けることができます。

  1. 相手がしゃべった英文の中にある単語を知らない
  2. 単語を知っていても、正しい発音を知らない
  3. しゃべりが早すぎて正確に聞き取れない
  4. リンキングや英語独特の発音の変化を知らない・慣れていない
  5. 相手がしゃべった英文を、文章として理解できていない

 

1.相手がしゃべった英文の中にある単語を知らない

まず単語を知らなければ相手の話を理解できるはずがありませんよね。日本語であれば知らない単語があっても前後の文脈から推測できたりしますが、英語の場合にこれをできるのは上級者のみでしょう。なぜなら、知らない単語の意味を推測するには、その前後をほぼ完璧に理解できていなければならないからです。また、知らない単語があった場合、その前後にある知っている単語でさえ、知らない単語に聞こえてしまうおそれもあります。簡単な例を挙げると、refusalという単語を知らないとして、mass refusalと相手が言った場合、せっかくmassという単語を知っていても、massrefusalという(実際には存在しない)知らない単語に聞こえてしまう可能性があるということがあるということです。これは前後から文脈を推測する妨げになりますよね。

実際の会話においては知らない単語があれば聞き返して別の言葉に言い直してもらえば済むものですが、あまりに頻繁に聞き返すのも相手に悪いですし、円滑な会話に支障が出るので、自身の語彙力を高める必要があるでしょう。

 

2.単語を知っていても、正しい発音を知らない。

この場合も1と同様ですが、より深刻な問題と言えるでしょう。なぜなら、あなたは単語を覚える際につづりからなんとなくこんな発音だろうと想像して暗記していませんか?そのなんとなく想像した発音を何度もつぶやきながら、あるいは頭の中で繰り返しながら暗記していませんか?さらに、そういう覚え方を英語を始めた中学生のころからやっていませんか?日本人には、これが当てはまる人が少なくないのではないかと思います。つまり、小さいころから覚えていた発音が、実は正確な発音ではない可能性があるということです。簡単な例では、allowという単語の発音をあえて日本語で書くと、「」に近いですよね。しかし、この単語を始めて見たときは「アロー」だと思いますよね。また、policeは「ポリス」だと思っていませんか?「リー」(※リにアクセントがある)が正しい発音です。日本語になっている英単語は要注意です。

※英語の発音を日本語で書くのは、英語の発音は日本語で表現できるという誤った認識を持たせてしまうため、本当はやるべきではないのですが、ここでは説明の簡便化のため使わせてもらいました。英語の発音は日本語では表現できないということを絶対に覚えておいてください。

 このような間違った発音で一度頭にインプットされると、それを修正するのはより大きなエネルギーが必要なので、「より深刻な問題」なのです。これを克服するには、発音記号の読み方を学び、あるいは実際の発音を聞いてみて、地道に一つ一つ正しい発音を知ることしかありません。

 

3.しゃべりが早すぎて正確に聞き取れない

相手が発音した英文について上の1,2をクリアしていても、しゃべりが早すぎて耳が追いつけないために理解できないことはよくあります。これを克服するには、リスニング教材などで早すぎるために聞き取れなかった部分を繰り返し聞いて慣れることです。また、聞き取れなかった部分を自分で何度も発音し、そのフレーズに慣れるということもとても効果があります。このとき、できるだけ耳で聞き取った音としゃべり方の抑揚を真似て発音してください。

 

4.リンキングや英語独特の発音の変化を知らない・慣れていない

英語には日本語と違ってリンキングや独特の発音の変化があります。リンキングはリエゾンとも呼ばれます。たとえば、need itの発音をあえて近い日本語で書くと「ニード・イット」になりますが、実際はリンキングが発生して「ニーディット」になります(しつこいようですが、ここでは説明のために発音を日本語で表現しているだけなので、発音を日本語で覚えたりするのはやめましょう)。イメージとしては、needitという単語を発音している感じです。これはたびたび発生するので、必ず覚えておき、慣れておく必要があります。

次に、英語独特の発音の変化について説明します。1つ目は、英語では母音の前のtをrと発音することがあるということです。一番有名なのはshut upを「シャラップ」と発音することでしょう(なお、ここではリンキングも起こっています)。イメージとしてはshurupという単語を発音している感じですね。ほかにはwhat isをwharisと発音することや、interviewをinrerview、amount ofをamounrofと発音する感じです。この独特の変化を実際に使うかどうかは人によります。ただ私の個人的な認識では、アメリカ人の方がイギリス人よりもこの変化をよく使います。なお、単語の先頭のtはrにはなりません。たとえばterrainはrerrainとは発音されません。

2つ目として、単語の初めのhを発音では省略することがあります。たとえば、himという単語を発音する際に、imとしか発音しないということです。これは、省略候補となりうる単語の重要性が、その文章中で低い場合によく起こります。たとえばI asked him.という文章中で、その前までの会話から尋ねた人が「彼」であることが自明である場合は、himという単語の重要性は低いと言えるでしょう。その際、「アアスクトウイム」という感じに発音されます。

これらのほかにも英語にはかなり多くの独特な変化があるので、申し訳ありませんが全て取り上げるのは困難です。あなたがリスニングの学習をする際に、どうしても解答文のように言っているように聞こえない場合は、発音が変化している場合があります。私はそういう英文に出会った場合は、再生スピードを調節できるソフトなどを使ってスロー再生して、これは発音が変化しているんだなと確認しています。

これらのリンキングや発音の変化があることを知らなければ、知っている単語でも別のもののように聞こえたり、聞き逃してしまうことがあります。これには慣れるしかありませんので、リスニング教材を使ってこれらが発生している部分を何度も聞きなおし、こういう風に発音するものなのだと慣れてください。

 

5.相手がしゃべった英文を、文章として理解できていない

これはどういうことかというと、相手がしゃべったことはちゃんと聞けたのだが、英文を日本語に訳したり、あるいは英文を英文のまま理解するのに時間がかかるために、言っていることが理解できないということです。たとえば、相手がVarious European corporations, including financial institutions, department stores and petroleum companies, have issued credit cards in partnership with international credit card firms.と言った場合に、この文章をすべて聞き取ることはできたものの、それをコミュニケーションに必要な程度の速さで瞬時に理解することができないということです。これは文章が長かったり、文法的に難しかったりする場合に起こりがちです。

これは「聞く」ための技能の問題ではなく、英文を読んで理解するスピードが遅いということなので、むしろ「読む」の技能を伸ばさなくてはなりません。より早く正確に英文を読めるようにトレーニングをしましょう。

 

 

長々と説明してきましたが、いかがでしたか。リスニングが苦手な場合、やみくもにリスニングの学習を行うのではなく、自分が上の5段階のうちどのレベルでつまずいているのかを確認し、それぞれにあった学習を行う必要があります。

最後に、リスニングを向上させるためには音読とディクテーションが最も効果があります。音読については前回も説明したとおり、漫然と口から英語を出すのではなく、一文一文に気持ちを込めて話してください。少し大げさなぐらいにネイティブの抑揚や発音を真似しながら話すとよいでしょう。音読もディクテーションも有名な勉強法なので詳細はネットで検索してください。